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「わ!今、アシカが上を通ったよ!!」
ちょうど歩いている最中に、アシカがプールから私達の頭上に張り巡らされた通路を通り、普段なかなか見ることのできないお腹や手足が見えた。
「すごい…なかなかこんな風に見ることないよな」
「本当だね。アシカが空を飛んでいるみたい」
テレビで宣伝をしていることがあったので、知ってはいたものの、やはり実際に見ると感動する。
「あ、美織!あれじゃないか?美織が一番見たがっていたやつ」
祐くんが指を指していたその先には、ペンギンの水槽だった。
それもただの水槽ではなく、街中のビル群を背景とした水槽で、その中をペンギンが泳ぐ様は、さながら空を飛んでいるようだった。
私はこれを見たくて、水族館に行くならここに行きたい!と祐くんにお願いしたのだ。
「本当だ!…わー!すごい!!」
近くに寄ると、本当にビル群の上空をペンギンが飛んでいるようだった。
「これ考えた人すごいね!」
「うん。話題になるのも分かる気がする」
このペンギンの水槽が一番話題になっており、そのせいか、人だかりが他の場所よりも多かった。じっくり見る人、写真を撮る人、様々であったが、ここまでかなりの人だかりだと、あまりゆっくりは見られない。
私達は一度その場を離れることにした。
「あー…水槽もすごかったけど、人だかりもすごかったね」
そこから少し離れた場所で、私達は一度立ち止まった。
「ペンギンも何だ何だ?って思っていたかもな」
祐くんのその言葉に、思わず笑ってしまった。
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