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「あ、そうだ。ちょっとトイレ行ってきていいかな?さっきのショップの近くにあるみたいだから、美織はここで待っててくれる?」
「うん、分かった。いってらっしゃい」
一人になった私は、その場からほど近い日陰に入った。まだ梅雨明けはしていないものの、晴れた日の屋外はなかなか暑い。
日陰に入ると、持っていたペットボトルのお茶をさっと飲み、バッグにしまった。
屋外エリアを眺めながら、私はふと、この後の予定を何も考えていないことに気がついた。
この屋外エリアを出れば、水族館を一通り見たことになり、出口となる。まだ夕方にもならないし、祐くんと会ってから2時間ほどしか経っていない。このまま解散するには、ちょっと早い気がしていた。
もちろん、祐くんの都合もあるから、それ次第なんだけど…
しばらく考えていると、祐くんが戻ってきた。
「お待たせ!」
「ううん、大丈夫!」
再び祐くんと合流した後、屋外エリアをぐるっと回って、出口の方へと向かった。
「あー楽しかった!祐くん、ありがとう」
エレベーターを待つ間、私は祐くんにそう告げた。
「こちらこそ、楽しかったよ。ありがとう」
すると、祐くんは少し考え込むような表情になった。そして、
「美織、今日は1日空いてるんだよね?」
と聞いてきた。
「うん、特に予定は入れてないよ?」
私はそう答えた。
「じゃあ、このあと良ければ映画とか観ない?それで、それが終わったら、ご飯行こう」
祐くんの提案に私は嬉しくなって、いいよ、と答えた。私の返事を聞いた祐くんは、どことなく嬉しそうだった。
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