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その後、私達は映画館へ向かい、観たい映画を決めて、チケットを購入した。上映時間までには少し時間があったので、時間まで近くを散策した。
映画は、ミステリー小説が原作のもので、上映前から話題になっており、2人とも気になっている映画でもあった。そのせいか、いざ映画が始まると、少なくとも私は、祐くんが隣にいることをすっかり忘れて見入ってしまった。
見終わって映画館を出た後、感想を言い合った。
「あれ、展開がすごすぎない?」
「分かる!あと音楽もすごく良かった!」
水族館を見た後とはまた違う、興奮度合いだった。
「よし、じゃあご飯行こっか」
時刻はすでに18時を過ぎていた。何だかんだであっという間だった。
「うん、そうしよう!どこに行く?」
私がそう聞くと、祐くんは既にお店を決めていたらしく、
「こっちだよ」
と、手招きした。スムーズ過ぎて、私はびっくりしてしまった。
「…もしかして、予めお店を探してくれてたの?」
「まぁ、一応ね…」
祐くんは、照れ笑いをしながら答えた。
「…」
私は、ノープランだった自分が恥ずかしくなり、色々考えてくれていた祐くんに失礼な気がした。
「なんか…ごめんね。全部祐くんにお任せしちゃってるね、私…」
「え?全然!いいんだよ、俺が好きでやってることだから」
「…」
祐くんは笑って言ってくれたが、私は申し訳無さでいっぱいになった。
「だから、ごめん、じゃなくて、ありがとう、の方が、俺としては嬉しいけどな?」
様子を察したかのような祐くんの言葉に、胸が温かくなるのを感じた。
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