デート

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「…何だか見たら急激にお腹が空いてきた」 「途中、何も食べなかったもんな。俺もお腹空いた」 2人して、いただきます、と言い、私は自然にサラダを取り分けた。 「はい、どうぞ」 「え?あ、ありがとう」 祐くんは驚いた表情になりつつも、取り分けられたお皿を受け取ってくれた。 食事をしながら、自然と普段の食生活の話題になった。 「そう言えば、美織は普段、食事はどうしてる?」 「うーん、自炊が中心だけど、作り置き出来なかったり、忙しい時は、お惣菜とかそういうのに頼っちゃうかな」 「作り置きするんだ!すごいじゃん」 祐くんから尊敬の眼差しで見つめられて、私は慌てた。 「全然だよ!簡単なものしか作れないし、レパートリーもそんなにないから…」 これは謙遜ではなく、本当だ。 実家にいたときにあまり料理はしておらず、社会人になってから一人暮らしを始めて、ようやく料理をしだしたため、実家にいた頃にもう少しやっておくんだった、と後悔をしたくらいだ。 「そうかな?俺なんて基本コンビニか惣菜かレトルトだよ。自炊は米を炊くくらいだし…作り置きとかすごいと思う!」 祐くんは、あまり料理はしないらしい。そういう人から見たら、自炊、さらには作り置きのおかずまで作る人はすごいように見えるのか…。 すると、あ、と祐くんが、何かを思い出したかのように、声を上げた。 「美織の得意料理って何?」 得意料理…レパートリーが少ない私にとっては、少し困る質問だ。自信を持って、これ!と言えるものがないからだ。
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