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すると、史子は呆れたような顔をした。
「あのねぇ、彼の言葉や行動に一喜一憂するっていうことは、そういうことだよ」
「た、確かに気にはなってたし…でも…」
私はこの期に及んでも及び腰だった。
「でも、何?」
「…告白されてから好きになるって…どうなのかな、って…」
「はい?」
史子は私の言葉を聞いて、頭を抱えていた。
「…美織、そういうのは全然気にしなくていいから。むしろ、向こうからしたら嬉しいはずだから」
「え、そうなの?」
史子の言葉を聞いて、私は驚いた。
「そうだよ。美織は複雑に考えすぎ」
「うぅ…」
私はあれこれと考え過ぎてしまう癖があるようで、慎重になりがちだ。それで良いときもあるけれど、周りからはもっと失敗を恐れずに冒険しろ、と言われることもある。
「まぁ、ネットで知り合ったわけだから、そういう意味で慎重になるのは分かるけどね。でも、美織に気持ちがあるなら、応えてあげてもいいんじゃないかなって私は思うよ」
「史子…」
「もちろん、美織を泣かせるようなことがあったら、その人のことを全力で泣かせに行くからね!」
「あはは」
「…それだけ、美織の幸せを願ってるんだよ」
史子はにっこり笑って言った。
「だから、美織が幸せになれる方を選んでね。私はそれを応援するから」
「史子…ありがとう」
こんな風に言ってくれる友人がいて、私は本当に幸せ者だな…と実感した。
「あぁ、とうとう美織も彼氏持ちかぁ…」
史子がグラスのお酒をくいっと飲みながら、そう言った。楽しそうな、けれどもどことなく寂しそうな、そんな感じだった。
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