繋がる気持ち

7/24
前へ
/281ページ
次へ
そんなに長いこと待たないはずなのに、祐くんが来るまでの時間が、とても長く感じた。 やがて、電車が到着したのだろう。 降りてきた人達に混じって、祐くんの姿が見えた。こちらに気付いたのか、祐くんが軽く手を振る。 「美織!」 改札を出てすぐ、祐くんは私の方に駆け寄って来た。 「迎え、わざわざありがとうね」 「ううん、スーパーに寄る用事もあったから、大丈夫だよ」 自然に話せているかすごく不安になりながらも、なるべく平静を装って話した。 「そっか。じゃあスーパーは…もう終わったの?」 祐くんは、私が手に持っていた袋を見て察したようだった。 「うん、祐くんが来る前に行ったの。その方が早いかなって思って」 「じゃあ、これ俺が持つよ」 祐くんはそう言って、私が持っていた袋を手に取った。 「そんなの悪いよ」 「いいって。これくらいさせてよ。これからごちそうになるんだし」 にっこり笑って祐くんは言った。 「あまり期待されると怖いんだけど…」 思わずそう漏らすと、祐くんは楽しそうに笑っていた。 私達はそのまま、私の自宅に向かった。 *** 「ここがうちだよ」 自宅に着いて、祐くんを家に上げた。 「お邪魔します」 祐くんは丁寧に挨拶をして中に入る。その様子が何だか可愛くて、思わずクスっと笑ってしまった。 「え?何か変だった?」 驚いた様子の祐くんが、私にそう訊ねる。 「ううん、全然」 私は慌てて否定した。 「あ、お買い物袋ありがとう。受け取るね。部屋はこっちだよ」
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

598人が本棚に入れています
本棚に追加