繋がる気持ち

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祐くんに持ってもらっていた買い物袋を受け取ると、彼を部屋へと案内した。 「好きなところに座ってて。今からパスタ茹でるから、少し待っててね」 そう言って、その場を離れようとすると、祐くんに呼び止められた。 「美織、俺も何か手伝おうか?」 申し出はありがたかったが、キッチンはそんなに広くないし、うちに祐くんがいるだけでもドキドキしてしまうのに、これ以上近くにいられたら、料理をする手元が狂いそうだった。 「ありがとう、大丈夫だよ。ゆっくりしていて。あ!手を洗いたかったら、洗面所はこっちだよ」 「あ、じゃあちょっと借りるね」 「どうぞ。終わったら部屋で待っててね」 私はそう言うと、キッチンで早速作業を始めた。 パスタを茹でるお湯を沸かしている間にサラダを盛り付け、出掛ける前に作っておいたコンソメスープを温めた。パスタを茹で始めたら、しめじと舞茸、ツナを炒めて、パスタが茹で上がったら、それらと一緒にして混ぜ、味付けをした。盛り付けのときに、刻んだのりとネギをトッピングして出来上がりだ。 下準備はしていたものの、緊張して多少手間取ってしまい、15分程かかってしまった。 「お待たせしました」 お皿を乗せたお盆を持って部屋に入りながらそう言うと、スマホを見ていた祐くんが顔を上げた。 「え!もう出来たの?早い…」 「そ、そうかな?もう少し早く作りたかったんだけど…」 「充分過ぎるくらいだよ!それに突然押し掛けたのこっちだし…あ、美織、それ並べるよ」 祐くんがお盆の上からお皿をヒョイっと取り、テーブルの上に並べてくれた。
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