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こうして食卓が整い、ようやく昼食となった。
「お口に合うかは分からないけど、どうぞ」
「めっちゃうまそう…いただきます!」
祐くんは、行儀良く両手を合わせてから、早速食べ始めた。
「え、すごくうまい!」
パスタを食べて、開口一番、祐くんはそう言った。
「本当?」
「嘘なんか付かないよ。本当にうまいし、サラダとかスープとか付いてるのも感動した」
「感動って…大げさだなぁ」
思わずクスッと笑ってしまった。
お世辞だったとしても、おいしいと言ってもらえてとても嬉しかった。
「大げさじゃないって!だって男の一人暮らしなんて、米と肉くらいだよ?」
それこそ大げさな気もするけど…ともかく、祐くんは喜んでいてくれるようで、ホッと一安心した。
その後、他愛もない話をしながら、食事を終え、食器を下げようとしたとき、祐くんが思い出したかのように、あっ、と声を上げた。
「そうだ!これ、一緒に食べようと思って買ってきたんだ」
祐くんは自分のリュックから、何かを取り出した。手にあったのは、美味しそうなカヌレだった。
「え?わぁ!カヌレだ!!」
「今日、急にお願いしちゃったし…近所に洋菓子店があって、美味しそうだったから。ケーキと悩んだんだけど、今日暑いし、こっちの方が傷まなくていいかなって」
祐くんのそんな心遣いがとても嬉しかった。
「ありがとう!あ、じゃあ折角だしコーヒーとか紅茶とか準備するね!どっちがいい?」
「じゃあ、紅茶をお願いします」
「うん!ちょっと待っててね。とりあえずお皿を下げちゃうから」
そう言って、お皿を片付けようとした。
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