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「あ、俺も手伝うよ」
祐くんが立ち上がりながら言う。
「大丈夫だよ、ゆっくりしてて」
私は首を軽く横に振りながら言ったが、
「さすがにお皿を下げるくらいはやらせて」
と、食い下がられてしまった。根負けしてしまい、お皿を下げるのはお願いすることにした。
私は、紅茶に使うお湯をポットにセットして、沸かしている間に、ひとまず使った食器だけサッと洗い物をし、鍋やフライパンはまたあとでやることにして、ひとまず水に漬けた。
その後、マグカップに紅茶のティーバッグと沸かしたお湯を入れ、紅茶を作る。少しだけ蒸らして、ティーバッグを取り出し、カップと、カヌレを置けるような小さい取皿とフォークをお盆に置いて、再び部屋へ戻った。
「紅茶、出来たよ」
そう言いながら部屋に入り、テーブルの上にそれぞれの紅茶と取皿、フォークを置いていった。
「美織、ありがとう」
祐くんがこちらを見ながら、にこやかに言った。
「いえいえ、こちらこそ美味しそうなお菓子をありがとう」
私はペコリと頭を軽く下げながら、祐くんにお礼を告げる。
そして、再びいただきます、と言うと、紅茶を飲みながら、美味しいカヌレを楽しんだ。
祐くんが買ってきてくれたカヌレは、ラム酒を効かせた大人のカヌレだった。また、焼きがしっかり入っているように見えるが、中はふわふわモチモチで、食感もすごく良い。
「わー!こんなカヌレ初めてかも!すごく美味しい」
ひと口食べて、私は感動してしまい、このカヌレの虜になった。
「気に入ってもらえて良かった」
祐くんがふわっと笑って言った。
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