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どのくらいそうしていただろうか。
気が付けば、身体の強張りがなぜか少なくなっていた。私を安心させるかのように、祐くんがずっと頭を撫でてくれていたからだろうか。
私は思い切って、祐くんの表情を見ることにした。ゆっくり顔を上げて、彼の顔を見る。
祐くんは、少し驚いた表情になった後、真剣な眼差しでこちらを見ていた。やがて、私の左頬に祐くんの右手が添えられた。
「美織…好きだ」
掠れた低い声。あの日以来、二度目の祐くんからの告白だった。
涙が頬を伝ってポロッと零れ落ちた。それは後から後から出てきて、なかなか止まらなかった。祐くんは驚いて、目を見開いた。
「美織…ごめん…嫌だったよな…」
祐くんは添えた手を離して、悲しそうな表情になりながら俯いた。少しして、近くにあったティッシュを2枚ほど取ると、私に渡した。
「勝手に取ってごめんな。でもこれ…」
そのとき、私は祐くんの首に腕を回して、自分から抱きついた。大胆な行動に、自分でもかなり驚いたけれど、ほとんど夢中だった。
「嫌じゃ…ない…」
泣きながら、声が震えてしまう。
「え?」
祐くんは驚いていた。
「嫌じゃない…」
祐くんは私の肩を持ちながらゆっくりと私を離し、私の顔をじっと見つめた。私の言葉を待っているようだった。私は俯きながら言った。
「私…最初、怖かった。初めて会った日に抱きしめられて、好きって言われて、信じられなかった」
何とか泣くのを抑えつつ、少しずつ自分の気持ちを話していく。祐くんは黙って聞いていた。
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