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クスッと笑いながら、祐くんはそう言った。
「だ、だって…初めて、なんだもん…」
「え?」
「キス、初めてなの…」
恥ずかし過ぎて消えたいくらいだった。経験が無さすぎて、どうしたらいいか分からない。つい、正直に言ってしまった。直後、重たいって思われないか、急に不安を覚えた。
「俺が、初めて?」
祐くんが、ぎこちなく聞き返す。
「うん…」
あぁ、やっぱり重たいって思われちゃったかな…と一気に心が沈んだ。
すると、祐くんがぎゅっと私のことを抱きしめてきた。
「え?あの、祐くん…?」
「…しい」
「え?」
「嬉しい」
祐くんが、ポツリと言った。
「え?え?」
私は意味が分からなくて、困惑した。
祐くんは私を少しだけ離した。
「両想いになれた上に、好きな人の初めてになれるんだ。めちゃくちゃ嬉しい」
くしゃっと笑って、祐くんは言った。
「…そういうもの、なの?」
私はその辺りには非常に疎いので、全然分からなかった。
「そういうものなの」
祐くんは嬉しそうに言うと、私のおでこに軽くキスをして、さらにまた唇を重ねてきた。
何度も繰り返されていく間に、徐々にそれは深くなっていった。
「んっ…」
思わず声が漏れる。息の仕方が分からなくて、頭がクラクラしそうだ。
「美織…」
祐くんが、私の名前を呼ぶ。気付けば、お互い、息が上がっていた。にも関わらず、祐くんは、また口付ける。私はされるがまま、必死に応える。
やがて、祐くんの唇が私の唇を離れ、瞼や頬、顎、首筋へと移動していった。何度もキスをされ、その度にリップ音が部屋に響く。
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