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ーーー買物語ーーー
「はあ、ココから出たい」
『またそれかあ。出て、どうするの?』
「どこでもいいんだよ、豚の腹以外ならどこでも」
『そんなこと言ってるうちは、どこへも行けないよ』
「そういうお前は?夢はあるのかよ、なりたいもの」
『福沢さん』
「あー、ナンバーワンになりたいってこと?」
『ナンバーワンには、どう頑張ってもなれっこない、諦めてる。でも錆びてくのが嫌なのね、すごく。最近特に思う』
「そう?俺は好きだな、渋くて格好いいじゃんか」
『銀には分からないよ。僕は君の10倍は何でも努力しないと追い付けないもん。土俵が違うや』
「そう不貞腐れるなよな。お前の名前、金と同じって書いてドウって読むんだろ?自信持てよ」
『君の方こそ、金より良いって書いてギンってさ。
ズルいよ、ほんと』
「はーあ。俺たちのアイドル福沢さんなら、こういう時どうするんだろうな」
『きっと何だって手に入るから、すぐ解決できるよ』
「でも、ガキんちょに顔んとこ、折られたりラクガキされたりするかもしれないんだぜ」
『そうだけど…、こんな所にいたらラクガキすらされないよ』
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