1人が本棚に入れています
本棚に追加
-2-
「……」
フタリが無言になった、ちょうどその時です。
「百均でさ、あれ買ってきてくんない?」
「あれ?」
「電話の横のメモ用紙よ」
「あー、あれか。百均だよね?」
「そう。お姉ちゃんの子どもがほしいって言ってたの忘れてたわ。今度の日曜日に来るからさ」
「はいよ、じゃあ部活の後買ってくるわ」
太郎と太郎のお母さんの会話が、フタリには届いていました。部屋のドアが開き、太郎が財布の中身を見てみると、
「1000円札しか入ってないや。崩すと重くなるなあ…。あ、そういえば!」
と、貯金箱を机の上で振ってみます。フタリは突然のことに思わず声をあげてしまいました。
ーチャリチャリン
「ちょうど110円!今日はついてるかもしれない!」
ギュっと握られたフタリは、太郎のポケットに一緒に仕舞われてしまいました。銀の長年の夢だった外に出るという夢は、太郎のお母さんによって、無事に果たせられました。
最初のコメントを投稿しよう!