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ーピ、ピ、ピ バーコードを読み取る音が聞こえてきます。もうすぐカゴの中身が分かるという期待と、もうすぐ離れ離れになるのだという不安とで、フタリは近くで寄り添い合うことしかできませんでした。 それほど長くは待ちませんでした。緊張を破ったのは、レジ係でした。 「次の方、どうぞ」 カゴが置かれるとすぐに「110円です」と聞こえ、 太郎はポケットに手を突っ込みました。太郎の手からフタリがカルトンに移ります。 蛍光灯の光が、フタリには眩しすぎるくらいでした。 「銅、銅!見てみろよ」 銀の言う通り、恐る恐るレジの台に置かれたソレを確かめると、銅は驚きで声を詰まらせました。台の上には、あの憧れの福沢さんが、福沢諭吉が確かにいたのです。銅は何物にも変えられない感情でいっぱいになりました。 レジ係の手によって、フタリはあっという間に運ばれていく中、 『僕たち、夢、叶ったね』 そう小さく銅は感謝しました。 その銅の鈍いながらも放った光を、銀はしっかり見届けました。 レジ係は「次の方、どうぞ」とお客さんを促しながら、レジスターを閉めました。
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