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告白
「優弥、好きだよ。僕と付き合ってください」
満面の笑みで玲生は俺にそう言った。
「え?……ええ??」
「なんで驚いてるの? 優弥は僕のこと好きでしょ?」
好きだけど……
「う、うん。でも、好きでも付き合いたいとは思わないって前に言ってたし……」
驚き過ぎて考えががぴょんぴょんと頭から飛び出すように弾けるから、俺は何も考えられなくなった。そう、この現実が受け止められない。冷静でなんていられるわけがない。ポケットの中でクシャクシャになっている紙切れをもう一度掴む。
「あ、もしかして、これ、第二校舎裏までって……」
「そう! 僕が書いて下駄箱に入れた」
「嘘だろ……」
だったらもっとそれらしい手紙にしてくれればいいのに。そもそも玲生の字なら見れば絶対にわかるのに、こんな雑に書かれていたんじゃ流石に俺でもわからなかった。
「大事な用事って」
「告白!」
力が抜ける──
大好きな玲生に「好き」と言われた。「付き合ってください」とも。好きだからって付き合いたいとは思わない、なんて言っていたのはなんだったのだろう。そもそも俺が玲生に向ける「好き」の気持ちは本当に伝わっているのだろうか。混乱するのは当たり前だ。
だって俺たちは「男」だし。
「優弥は好きな人とはお付き合いしたいって思うんでしょ? ずっとそばにいたいって、僕だってそう思う。優弥とは付き合おうって言わなくてもずっと一緒にいるもんだと思ってたからああ言ったけど……優弥が付き合いたいのならそうしたいなって思ったから」
だからちゃんと「恋人同士」になって付き合おう、と玲生は少し顔を赤らめてそう言ってくれた。
「嘘みたいだ……本当に? 俺と?」
全くもって実感が湧かない。
「本当。僕も優弥のこと好きだよ」
「嘘だ──」
「嘘なわけあるかよ。優弥と恋人同士になりたいんだ僕は」
「マジか……」
男同士だからと諦めていた。気付かれてはダメだと思ってひた隠しにしていた思い。でもそんなのとっくのとうに玲生にはバレていたんだ。そして玲生も俺と同じ気持ちでいてくれていた。
こんなの「奇跡」だ。
諦めていた「好きな人」からまさかの告白をされてしまった。嬉し過ぎて泣けてくる。そんな俺を見て玲生は「大袈裟だな」と笑っていた。
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