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「こんにちは、誰かいますか」少年は何度も呼びかけた。
男は最初幻覚だと思った。
何故ならこの森に来てから今まで、人に出会ったことがなかったからだ。
ここはそういう場所だと諦めていた。だから書物に逃避した。
ところがここに来ていきなり、人が来たのだ。
男は億劫に思って、家の奥で居留守を決め込んだ。
ところがそんな男の気も知らず、少年はどかどかと家に上がり込んできた。
これには男もさすがに驚いて、家の外に顔を出し、少年に話しかけた。
「君は誰だね。ここは私が住んでいる家だ。少なくとも私はそう思っている。それなのになぜ、そこを乱すのかね」
すると少年はいきなりへなへなと座り込んだ。
「やっと人がいた!このまま誰もいないままだったらどうしようと思ったー」
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