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男は煙草をふかした。
「君は、ここに来る前のことを覚えているかね」
「はい…」
少年はうつむいた。
「学校で、僕をいじめてくる奴がいたんです。僕は本が好きで、毎日読んでいたんですが、それが気持ち悪いと言ってきて」
「いじめはどんどんエスカレートしていって、生きるか死ぬかと言うところまで来て…」
「ある時僕がそいつにやり返したんです。
そいつは階段から僕を突き落とそうとして来たんで、やり返してやったんです。そしたらその反動で、そいつは死んでしまいました」
「警察は僕を捕まえませんでした。正当防衛だって。でも、それを逆恨みしたそいつの親が、ある日僕に刃物で襲いかかってきて、そのまま…」
「そうか…」
男はしばらく黙っていたあとに話し始めた。
「私はな、生前ひどい酒飲みだったんだよ」
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