(11)タヌキとトリの悪だくみ

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 則夫(のりお)に言われなくても、出来るものなら天莉(あまり)を手中に収め、足元に(ひざまず)かせたいと思っている風見(かざみ)だ。  天莉が嫌がりながらも自分のイチモツを舐めるところを想像したら、最高に気持ちが(たかぶ)る。 「もしも金の問題と言うんなら、わしも少しぐらいなら都合してやれるぞ?」  急に黙り込んでしまった風見に、則夫がそう提案してきて。 「いえ、金の問題ではないのですよ、江根見(えねみ)部長。部長はご存知ないかも知れませんが、実はあの女、クソが付くほど真面目なタイプでしてね」 (まぁ、相手が取締役クラスともなると話は別のようだったがな)  ――五年も付き合った平社員の横野博視(ひろし)(ないがし)ろにした〝事実〟を、風見は知っている。  心の中でそんなことを付け加えながら、言外に一筋縄ではいかない相手だと含ませたら、則夫が少し考える素振りを見せた。 「いつものやり方では通用せん女ということか」  ややしてポツリとつぶやくと、しばし思案するような間があって――。  そうしてポンッと手を打つと、 「近々会社主催の親睦会があったね」  言って、見ている風見もゾッとするような下卑(げび)た笑みを浮かべた。
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