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「ん? 平気も何も……。元々俺は親からの条件で三十五までに結婚相手を見つけないといけなかったからね。実際猶予が迫ってる。それこそ相手を自分で見付けて帰るか、親が見付けた相手を娶らされるかの二者択一だから。――別に問題はない」
確か天莉が去年社内報で見るとは無しに見た高嶺尽の年齢は、三十三歳と書かれていたはず。
彼の誕生日がいつかは分からないけれど、今は三月に入ったばかり――。
もしも尽が二月八日生まれの天莉同様早生まれならば、すでに三十四になっているか、もしそうではないにしても、年内にはそうなると言ったところだろう。
確かに結婚相手を見つけて婚姻までこぎつけるとなると、期限が一年くらいしかないというのは……それこそお見合い以外では厳しそうではある。
「あの……っ、高嶺常務のお誕生日はいつなんですか?」
そんなことを考えた天莉は、思わずそう問いかけて――。
「ん? 俺の誕生日は四月五日だが――。ああ、三十五までにあとどのくらい残されてるのか気になったのか」
天莉からの質問にククッと笑うと、尽が「もうじき三十四になるが、プレゼントはキミでいいよ?」と天莉を見詰めてくる。
眼鏡の奥の眼光が冗談を言っているようには思えなくて、天莉はドギマギして。
どうしていいか分からなくて、パスタをフォークにクルクルクルクル巻き付けて誤魔化そうとしたら、「そんなにたくさん巻いて、キミの小さな口に入るの?」と笑われてしまった。
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