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予想の斜め上なことを言われて、思わず言葉に詰まった天莉を見て、尽も思うところがあったのかも知れない。
ふと思い出したように、
「そういえば前に提案した猫の件も同時進行で進めたいんだが、どういう子がいいとか……希望はあるかね?」
と付け加えてきて。
さして構えた風でもなかったのに、どういう〝猫〟と言わずに〝子〟とサラリと言えてしまう尽に、不覚にもキュンとしてしまった天莉だ。
たったそれだけのことだったけれど、きっとこの人は猫を大切にしてくれるんだろうな、と思っただなんて言ったら、与し易いチョロ子だと思われてしまうだろうか。
天莉は今まで猫をお迎え出来なかった分、猫と暮らすと言うことに関しては、結構夢見がちだったから。
どうしても猫が絡むと色々気持ちが緩んでしまう。
そんな天莉。
お迎えするなら行き場のない子がいいな、と思ってきた。
それこそ、尽とこうなる前から長いことずっと。
(でも……)
天莉が用意できるような庶民的な家ならまだしも、尽のこのハイスペックな家にはペルシャ猫とかロシアンブルーとかノルウェージャンフォレストキャットとか……とにかくそういう横文字系の名前の猫の方が似合いそうな気がして。
自分が迎えたい猫とのギャップに、天莉は戸惑ってしまう。
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