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そんなこんなで、尽から問いかけられたものの、本音を伝えても良いものか迷ってしまった天莉だ。
小さく巻き取ったパスタを口に入れて、うかがうように尽を見つめたら、クスッと笑われて。
「キミが思ってることを当ててやろうか?」
自信満々に天莉を見つめてくる尽に、天莉はソワソワと落ち着かない。
「天莉のことだからきっと、迎えるなら保護猫がいいと思ってるんだろう? 何なら希望の毛色も出たとこ勝負の行き当たりバッタリで良いや……なんてことも思ってる。違うかい?」
天莉は口の中のパスタをゴクンと飲み込むと、「な、何で分かるんですかっ?」と思わず前のめりになっていた。
「キミは面倒見が良くて優しいからね。むしろ、ペットショップへ連れて行って欲しいとねだる姿の方が想像出来ない」
いとも容易く核心をつかれてしまった。
「め、面倒見が良くて優しいかどうかは保証しかねますが……お迎えするなら保護っ子が良いなと思っていたのは図星です。あの……ダメ、でしょうか?」
この家は尽のもので、天莉は現在居候の身。
尽に嫌だと言われたら諦めるしかない。
「何故ダメって言われると思うのかね? 俺がキミのしたいことに反対するわけがないだろう? そもそも大前提として、天莉が選ぶものを俺が愛せないわけがない」
眼鏡の奥。
スッと目を眇められて、天莉はわけも分からず心臓が飛び跳ねてしまう。
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