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(うちの会社、医療用医薬品の卸売なんかを手掛けてるんだもん。有り得なくはないよね)
天莉の勤め先では、医薬品・医療機器・医療材料・臨床検査試薬など、医療に関わる商品を数多くのメーカーから仕入れ、病院や診療所・薬局などと言った医療機関に販売・納品している。
社内にはMR(Medical Representatives)と呼ばれる医薬情報のスペシャリストもいて、自社で取り扱う医薬品の適正使用や、品質・有効性・安全性等をクライアントに説明したりしている。
そんな会社なので、総務課配属の天莉は文系だが、会社全体で見ると理系の人間の方が多いくらいだ。
現に、元カレの博視も理工学部卒だった。
(そう言えば……高嶺常務は何学部卒なんだろう?)
考えてみたら、天莉は尽のことをほとんど何も知らない。
尽は天莉のことを〝調べた〟と言っていたので、話さなくても色々知っていそうだけれど、自分は違うとハッとした。
(常務ばっかり色々知ってるのって……何だかズルくない?)
そう思ったのと同時、こんな風に客観的に二人の経緯を振り返ってみると、天莉は出会った瞬間からずっと、目の前の美丈夫に踊らされまくりだったと気が付いて。
何だか胸の奥がわけの分からない苛立ちに包まれて、モヤリと燻った。
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