(15)初めてのマリアージュ

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***  天莉(あまり)がふと目を覚ますと、見慣れない景色で――。 「んっ」  不用意に動かした頭がほんの少しズキンと痛んだ。 「あれ? 私……」  こめかみを押さえながらつぶやいたと同時、「目覚めたかい?」という声がすぐそばから。  まだ(しゃ)が掛かったみたいに回らない頭で声の方へ視線を向けた天莉はビクッと身体を撥ねさせた。 「ひゃっ、高嶺(たかみね)常務っ⁉︎ ……えっ、えっ⁉︎」  自分のすぐ真上。(じん)が天莉の顔をうっとりと覗き込んでいて、天莉は自分がリビングのソファーの上にいて、(じん)膝枕(ひざまくら)で目覚めたことを知った。  慌てて身体を起こしたら寝起きでシャキッとしていなかったからだろうか。ヨロリとふらついて、再度尽の腕の中へ収まってしまう。  オロオロと落ち着かない感情に支配されるまま、尽に抱き止められたまま周りをキョロキョロしてみた天莉だ。  アナログの壁掛け時計が指す針は、果たして午前だろうか午後だろうか? 「まだ二十一時(午後九時)を少し回ったばかりだよ? 明日も会社は休みだからそんなに慌てなくても大丈夫だ。――とりあえず風呂にでも入るかい?」  湯張りはAIアシスタント(アレックス)がしてくれているからね、と付け加えてくれた尽に、天莉は自分が風呂にも入らず寝落ちしていたことを思い知らされた。  尽も天莉が寄り掛かってしまっていたからだろう。スーツ姿のままで。
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