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「やぁんっ」
途端キスから逃れた天莉が、抗議の声を上げるから。
「風呂へ入るんだ。どうせ全部脱ぐだろう?」
露わになった天莉の肩へ吸い寄せられるように唇を寄せてつぶやけば、天莉が真っ赤になって尽を押し戻そうとした。
だけど非力な天莉の力では、尽を押し除けることなんて到底敵わないのだ。
「天莉はどこもかしこも良い匂いがするね」
言いながら、尽がわざと天莉に聞こえるようチュッと湿ったリップ音を立てて鎖骨へ口付けを落すから。
天莉は恥ずかしそうにギュッと身体を縮こまらせてその刺激を逃そうと頑張った。
「……尽さんっ、ダメぇっ」
こんな時でさえも――。
あくまでも〝さん付け〟したいらしい天莉に、「呼び捨ては、そんなに嫌?」と聞いてみたくなった尽だ。
「みんなと一緒がイヤなだけなの……。私だけの呼び方が〝尽さん〟しか思いつけなかっただけです。何かもう……色々とワガママでごめんなさい……」
だが、真っ赤な顔をした天莉から返ってきた言葉が余りに愛しくて、尽は思わず彼女を攻めるのも忘れて顔を上げた。
「ねぇ天莉。だったら俺のこと〝尽くん〟って呼んでみない? その方が何か甘ったるくて……くる」
言って、熱を帯び始めた下腹部を天莉の身体にギュッと押し付けるようにして言ったら、
「やんっ。尽く、んの、バカぁ……! 意地悪っ! エッチ!」
涙目で睨まれても、尽は天莉から呼ばれる〝尽くん〟が思いのほか良いなと思って。
正直他が入ってこなかった。
そう、天莉に押し付けた下腹部に色々とさわりが生じてしまう程度には、本気で〝快かった〟のだ――。
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