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そこからはもう天莉の抵抗なんてどこ吹く風。
尽は器用に天莉を生まれたままの姿に剥いてしまうと、自分は着衣のまま天莉と向き合った。
「ヤダっ、尽くっ、な、んでっ!?」
「だって天莉、俺が服を脱ぎ始めたら逃げようとか思ってただろ?」
「――っ!」
天莉の性格からしてきっとそうだろうな?と推測して動いたのだが、尽の指摘に見開かれた天莉の双眸が、『何で分かったの!?』と語り掛けてくるようで、思わず笑ってしまった尽だ。
(可愛すぎだろ、天莉)
「俺はね、別にあとから一人で入り直してもいいんだ。だから――」
真っ裸の天莉をじっと見つめていたい気持ちはある。
だけどあんまり追い詰めたら可哀想だな?とも思って。
尽はいつも愛用している今治の肌触りの良いフェイスタオルを一枚天莉に手渡すと、にっこり微笑んだ。
「何もないのは気持ち的にしんどいだろう?」
(まぁ、タオルの一枚や二枚、その気になれば何とでも出来るしね)
などと心の中で思っていることはおくびにも出さず――。
天莉は、尽の手渡したフェイスタオルをまるで最後の縁ででもあるかのように胸前で抱き締めると、零れ落ちそうにたわわな胸を隠すみたいにぎゅっと押さえつけた。
その様が、今すぐ抱きしめたくなるほど可愛いと思ってしまった尽だ。
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