(17)声を聴かせて?*

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*** 「お互い立った方が洗いやすいよね」  なんていう(じん)の言葉に流されるまま。  天莉(あまり)は鏡の真ん前に立たされている。  洗い合いっこというならば、自分も尽の方を向いていなければいけないはずなのに、何故か鏡の方を向くように立たされた天莉は、いつも自分がしているようにスポンジで作り出されたフワモコ泡をたっぷり手のひらに乗っけた尽に、背後から抱きすくめられていた。  すでに背中にはたっぷりの泡が乗せられて撫でくり回された後で、背面にピッタリと密着した尽との間で、流さないままの泡がヌメヌメと肌を滑らせて、エッチな感じがしてしまう。  背後に尽の厚い胸板を密着するように押し当てられているので、彼の熱が嫌でも伝わってくる。  それが、やたらと照れ臭くて堪らない天莉だ。  それだけでもしんどいのに、尽は悪びれた様子もなく今度は天莉の身体を抱きしめるようにして前の方へ手を伸ばしてくるのだ。  お尻に、尽が腰へ巻いたタオル越し、〝何か固いもの〟が当たっている気がするのは気のせいだと信じたい。 「天莉、タオル、少し持ち上げるね?」  言われて水分を含んで重く身体に張り付いたタオルの隙間から手を差し入れられて。 「……んっ!」  スリスリッと(ぬめ)りを帯びた尽の手のひらでおへそから胸の膨らみの下あたりまでをゆっくりと撫で上げられる。 「やぁ、んっ」  イヤ!とハッキリ告げたいのに、自分の手のひらとは違う大きくて武骨な尽の手の感触にゾクゾクして、()びたような抗議の声しか出せないことに、天莉は泣きたくなった。
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