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「確か……女性のここへはあんまり石鹸を塗り込まない方がいいんだよね?」
秘部にデリケートゾーン用以外の石鹸を付けて擦ると、皮膚が薄く、剥き出しの粘膜に近い場所だからだろうか。早く洗い流さないと、じわじわと沁みて痛みを感じてしまうことを天莉は経験から知っている。
だからいつもそこは最後に洗って、一番最初にお湯で丁寧に洗い流すのだけれど。
「な、んでっ」
――貴方がそんなことを知っているの?と聞きそうになって、尽が付き合ってきた沢山の女性の影を垣間見た気がした天莉は、胸がズキンと痛んで思わず口をつぐんだ。
「……ああ、それは仕事上、ね」
なのに尽は何故か仕事でその知識を得たのだと言ってから、「……あ、けど。こういうのを男から言われるの、女性は余り好まなかったね。申し訳ないことをした。つい実地の検証データが欲しくなってしまうのは俺の悪い癖なんだ」と続ける。
その口ぶりからするに、どうも仕事絡みと言うのは嘘ではない気がした天莉だ。
医薬品などを中心に扱う天莉の勤め先『株式会社ミライ』は、確かに敏感肌の人に特化した化粧品や石鹸など……そんなものも取り扱っている。
(けど……うちの会社、別に開発部門とかあるわけじゃないのにどうして……?)
常務ともなると、平社員の預かり知らない仕事内容も、業務のうちなのだろうか?
とはいえ、確かに男性からこんな話題を振られるのはちょっと引いてしまうな、と思って。
(あ、でも……)
天莉はそれを現状を打開するチャンスかも⁉︎と思ってしまった。
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