(17)声を聴かせて?*

16/19

6532人が本棚に入れています
本棚に追加
/482ページ
 今まで博視(ひろし)しか知らなかったから気付けなかったけれど、思い起こせば博視は(じん)のように天莉(あまり)の身体をあちこち触ってこなかったから。  自分の身体の中に、触れられただけでゾクゾクと鳥肌が立ってしまうような場所がいくつも存在していることに、天莉は物凄く戸惑ったのだ。  その上、尽はまるで天莉のその反応を楽しむみたいに実況中継して言葉でも(いじ)めてきて。  それが恥ずかしくてたまらないのに、身体の方は恥じらいを(かて)にますます(よろこ)ぶからたまらない。  よく考えてみればそういうのにしたって、尽が天莉の反応をよく見ている証拠だとも思えて。  天莉の変化を余さずキャッチして優しくリードしてくれる尽に、天莉は翻弄(ほんろう)されまくり。  そんな尽が相手ならば、もしかして自分に痛いことなんて起こらないんじゃないかとすら思ってしまった。  そもそも秘所がこんなにトロトロに濡れたこと自体、初めての経験で。  濡れないままに貫かれるから痛いのだということを、博視との行為の中であれこれ調べて知ってからは(うるお)わない自分の体質を恨んだ。  だから正直尽にこすられるたび、下から水音がしてくることに気付かされた時、天莉は物凄く驚いたのだ。  それと同時。どう見ても自分の谷間に擦れる〝尽のモノ〟は博視のより大きいと分かって、それを受け入れることになるのかも知れないと思ったら恐怖心がそろりと鎌首(かまくび)をもたげた。  でも――。  尽が、痛い時は痛いと言ってもいいと言ってくれたこと。  自分の身体が、まるで尽と繋がれることを心待ちにしているみたいに蕩けてしまっていること。  そういうのを肌で感じて、天莉は尽のことを受け入れてみてもいいかも?と思ってしまった。
/482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6532人が本棚に入れています
本棚に追加