(17)声を聴かせて?*

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 自分から男性と繋がってもいいと思えたのは、まだ処女だった頃、初カレの博視(ひろし)に求められ、何も知らないままに期待して打ちのめされて以来、二度目の衝動で。  (じん)とそういうことをするのは初めてだったから、博視の時みたいに『そんなこと思わなければよかった』と打ちひしがれる結果になる可能性だって、もちろん否定は出来ない。  それでも。  天莉(あまり)は尽とそう言うことをする自分を想像して、キュンと子宮の奥が疼くのを感じたから。  もう一度だけ男性を受け入れる自分を想像してみてもいいかな?と思えたのだ。  だが、結局尽は天莉の両太ももの隙間(あわい)で自身を(しご)くのみに留めると、一度も天莉の膣内(なか)挿入(はい)ろうとしてこないまま――。  秘部をこする律動がどんどん激しくなっていった。  ややして、 「天莉っ、背中に……いいっ?」  ギュッと背後から天莉のことを抱きしめてきた尽に、耳元で切なげにそう問いかけられて。  天莉自身、気持ちいいところを尽の熱棒で執拗に可愛がられて……。博視との時には味わったことのない快感に飲まれて訳もわからないままにうなずいていた。  股の間を一際強くこすり上げるようにして尽の欲望が(もも)の隙間から引き抜かれた瞬間、背中に熱い飛沫(しぶき)を浴びせられて初めて。  天莉は、尽が告げた〝背中に、いい?〟の意味を悟った。 (尽くん、()けたんだ)  思いながら、自身も男性と肌を重ね合わせて初めて――。  頭が真っ白になるほどの快感に溺れるように意識を手放した。 ***  目を覚ました時、天莉(あまり)は自分のものではないシックなシーツの掛かったベッドへ横たえられていて、(じん)に、すぐそばから心配そうな顔をして見下ろされていた。  どうやら今いるのは尽の寝室らしい。  部屋中に(ほの)かに漂う、尽が普段から身に纏っているコロンの甘く深い甘美な香りに、嫌でもそう気付かされた天莉だ。
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