(19)天莉に近付く者たち

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「あー。やっぱり気付いちゃいましたぁ? そうなんですよぅ。だけどぉ、折角もらいましたしぃ……先輩が飲んでくださぁい」 「えっ?」  さっき、料理に関して天莉(あまり)がそういうことを指摘したら、細かいことを言うなと嫌味を言ってきたのに。  天莉が呆然と紗英(さえ)を見詰めたら、さすがに自身の言動の矛盾に気付いたのだろう。 「先輩が言ったんじゃないですかぁ。手にしたものを残すのは良くないってぇ」  確かに言いはしたけれど。  天莉はそれほどお酒が強くないのだ。  (じん)からも、自分の目が届かない以上、今日は出来ればアルコールは摂らないで欲しいとお願いされていたから、ソフトドリンクでしのぐ予定だったのに。 「先輩(せんぱぁい)今日(きょぉ)はぁーもしかしてパーティーなのに車を運転して来ちゃった系ですかぁ? もしそうならTPPでしたっけぇ? それがなってないですよぅ?」  ここで〝環太平洋経済連携協定(TPP)〟はおかしいので、恐らく〝TPO(時間(Time)場所(Place)場面(Occasion))〟と言いたいんだろう。  天莉が自家用車を所有していなくて、いつも公共の交通機関で通勤しているのを知っているくせに、わざと言っているとしか思えない。 「今日はさすがにタクシーで来てる、けど」  しぶしぶ答えたら「だったらぁ、妊娠中の紗英と違って(なぁーん)にも問題ないですねぇー? はい、どぉーぞ」  悪びれた様子もなくグラスを押し付けられた天莉は、仕方なくそれを口にしたのだけれど。 「美味しい……」  甘くて飲みやすいお酒は、思いのほか喉が渇いていたらしい天莉の身体にスーッと染み込んできた。  気が付けば、料理も口にしないまま、ひと口、ふた口と、全部飲み干してしまっていた天莉だ。 --------------------- 本編70,000☆達成のお礼にスター特典 1669efc3-c8f3-4469-80a0-11a3adbad28c https://estar.jp/extra_novels/26132210 を書き下ろしました。 もし宜しければ(*´ー`*人)
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