(21)解毒*

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 再度下腹部へ伸ばされそうになる(じん)の腕を掴んで、「もぉ、やだぁ……」と熱に浮かされた声でつぶやけば、尽が「副作用、大分抜けてきたね。もう一度だけイケたら終わろうか?」と汗と涙で頬へ張り付いた天莉(あまり)の髪の毛を優しくよけてくれる。 「次で……最後?」  言って、尽をとした目で見上げたら、「ああ、次で最後だ。よく頑張ったね、天莉」と、尽が耳元で低く優しくねぎらいの言葉を投げ掛けてくれる。 「……私、頑張れた?」 「ああ」 「だったら……ご褒美が欲しい」 「褒美?」 「うん」  一人着衣を乱さないまま、ワイシャツのそでを腕まくりして天莉に奉仕し続けるだけだった尽の下腹部。  布地(スラックス)越しにも明らかに固く張り詰めているのが分かる尽の雄芯に手を伸ばすと、天莉は恐る恐るそこへ触れた。 「――っ!」  途端、尽が小さく息を詰めたのが分かって。その反応が、天莉にはこの上なく嬉しいことに思えた。  何度も何度も尽に絶頂へ導かれたことで、いつもならブレーキを掛けてしまうような大胆なことが、知らず知らずのうちに出来てしまえている天莉だ。 「……尽くん、最後くらいは私、尽くんと一緒に、がいい。お願い、尽くん、私を……抱いて?」  その熱に浮かされたまま、尽を見上げておねだりをすれば、尽が瞳を見開いて。 「でも、天莉、それは入籍が済むまでは――」 「尽くん、分かってると思うけど……私、処女じゃないよ?」  天莉だって、ここで博視(元カレ)との行為を(ほの)めかすのは卑怯だと十分理解している。  だけど――。
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