(21)解毒*

14/14
前へ
/482ページ
次へ
「あぁんっ、ヤだッ、(じん)くんっ、どうしよ、……私っ」  こみ上げてくる未知の感覚が怖くて涙目で尽を見上げたら、ギュッと腕の中に抱き締められた。 「大、丈夫、だからっ、俺が付いて……る!」  いつもより気持ち高く感じられる尽の声音。  鼻に掛かったようなその声が、乱れた呼吸の合間に懸命に言葉を紡ぐ様が天莉(あまり)には物凄く色っぽく思えて。 「尽く、んっ、大好き……!」  尽の、筋肉質な身体に腕を回すと、天莉は尽に必死にしがみ付いた。  そうしていないと、どこか知らないところへ飛ばされてしまいそうで怖かったから。  そんな天莉の身体を、尽が痛いくらいに抱き締めてくれていることがこの上なく安心できて心地いい。  敷き直したばかりのタオルが、お尻の下でまたグショグショに濡れて冷たくなってしまっているけれど、そんなことも気にならないくらい、天莉は尽との行為に没頭した。 「あぁぁぁんっ、尽くん、もっ、ダメぇっ」 「俺もだ、天莉っ!」  どちらともなくお互いの身体に回した腕により一層力を込めて。  下腹部の結合部をこれ以上ないくらいに深く深く繋げると、天莉の中でラテックス越し、尽の雄槍がビクビクと震えて達したのが分かった。  どんなに収縮したって吐き出された尽の精を取り込むことなんて出来やしないのに、天莉は自分の中がまるで尽の吐き出したものを全て自身の奥へ奥へ誘い込みたいみたいに(うごめ)いているのが分かった。  天莉は、生まれて初めて……。  男性に抱かれることが心の底から気持ちいいと思えた――。
/482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6540人が本棚に入れています
本棚に追加