(22)紗英の身勝手な言い分

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***  仕事を誰にも押し付けられない日々に限界が来た紗英(さえ)が、ある日の就業後ホテルの一室に風見(かざみ)を呼び出してどういうつもりなのか?と問い詰めたら「高嶺(たかみね)常務に釘を刺されたからだ」とはどういうことだろう? 「高嶺常務ってぇ、そんなお仕事もしてる人なのぉ? 紗英ぇ、会社のシステムとか全然興味ないからどういう意味なのかサッパリ分かんなぁーい!」  そう畳み掛ける紗英に、風見は「詳しいことは江根見(えねみ)部長に聞いたらいい」と言ってから、「そんなことよりこんなところへ呼び出したんだ。お前もそのつもりなんだろ?」と、紗英を押し倒してきた。  紗英は欲求不満解消のために抱かれてやることにしたのだけれど、そんな紗英をあざ笑うみたいに風見が「素直に応じるってことはやっぱりお前妊娠なんてしてないんだろ?」としたり顔で言ってくるから、本気でムカついてしまった。  素直にその通りだと教えるのも腹立たしく思った紗英が、「アンタなんかに関係ないでしょぉ?」と風見を睨んだら、「そっか。まぁ私には関係ないが……本当に妊娠してるんなら出しても問題ないな?」と気持ち悪いことを言ってきて。  紗英は風見が、避妊具を付けずに挿入してるのは知っていたから、観念して「妊娠なんてしてないんだからぁ! 外に出してよね!?」と渋々ウソを認めてやったのだけれど。
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