(24)尽の正体

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 (じん)の言葉に則夫(のりお)がグッと言葉に詰まる。それを横目に、尽がさらに追い打ちをかけた。 「沖村と伊崎にも話しましたが、あなた方お二人にも近いうちにアスマモル薬品から損害賠償請求が届きます。こちらとしては皆さんがしたことを許すつもりは微塵もありませんので、刑事告訴も辞さない構えです。もちろん、天莉(あまり)以外の被害者女性たちともおおむね話がついていますので、そちらからの被害届も出るでしょうね。今更ジタバタ足掻いたところで結果は変わりませんし、そのつもりで首を洗って待っているといい」 「なっ‼︎ た、高嶺(たかみね)常務っ、私もですかっ!?」  則夫の横で資料をめくっていた風見が、と言われたことに反応するように素っ頓狂な声を上げて立ち上ったのだけれど――。 「は? それ、本気でおっしゃられていますか?」  尽に、眼鏡越しの冷たい視線で射抜かれて、オロオロと瞳を彷徨(さまよ)わせる。 「何なら風見課長。貴方には江根見(えねみ)部長にはない追加の罪状があるくらいなんですが、まさか身に覚えがないなどと言うつもりはありませんよね?」 「なっ。つ、追加の罪状なんて……そ、そんなのあるわけがないでしょう! わ、……私はただっ、江根見部長に言われて動いていただけなんですからっ。……ぶ、部長より悪いことなんてしていないはずだっ!」 「風見! キサマ!」  則夫が風見を睨みつけたが、尽はそれを無視して言葉を継いだ。 「ほぉ。私が天莉(あまり)を助けに踏み込んだとき、貴方が私のフィアンセに何をしようとしていたか、お忘れになられたとでも?」 「そっ、それはっ」 「確かに天莉に対しては〝未遂(みすい)〟だったのかも知れませんな。ですが――」
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