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「お願い。キミの中で、もう一度果てさせて?」
耳朶を掠めるように付け足された尽からのおねだりに、天莉はぼんやりとした頭のまま小さくうなずいた。
***
「あ、あのっ、それじゃあ……最初から私には断る選択肢はなかったって、こと?」
「断られる気はしなかったからね」
濡れた耳元でククッとくすぐるように笑われて、天莉はゾクリとして身体を縮こまらせた。
先ほど熱を吐き出したばかりだと言うのに、背中に当たる尽のモノはいつでもスタンバイOKみたいにガチガチに固い。
そうして天莉自身も、膣内に彼を受け入れたわけではないからか、全身から力が抜けるくらいの快感が突き抜けたにも関わらず、お腹の奥に溜まったままの熱が抜け切っていなくて。
ほんの少しの刺激でも甘えた声が漏れそうになってしまう。
ミライの方はおろか、受け入れ先のアスマモル薬品の方でもすでに根回しは済んでいるとかで、副社長になる高嶺尽には、伊藤直樹と玉木天莉二人の専属秘書が付くことで話が付いていると言う。
湯船の中。
背後から尽に抱き締められた状態でその話を聞かされている天莉は、ともするとすぐにでも情欲に呑まれてしまいそうな気持ちを懸命に話の内容へ集中しようとしている真っ最中だ。
尽が、『天莉も一緒にアスマモルへ行かないか?』と聞いてきた時には、天莉が断る未来なんて元より想定されていなかったらしい。
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