(5)俺も今夜はお前ん家に

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 そこも明確にした上で覚悟を持って動いているのだと分かってくれたなら、直樹(なおき)だって今から自分がすることにきっと目をつぶってくれるだろう。 (ま、イヤでもつぶらせるけどな)  案の定、背後で「(じん)、お前……」と直樹がつぶやく声がして。  尽は天莉(あまり)と直樹のどちらへともなく「俺は本気だよ」と言葉を重ねた。  その言葉に天莉が涙に潤んだ瞳を大きく見開いて、「でも高嶺(たかみね)常務……」と小さな声で反論しようとするから。  尽はそのセリフを最後まで言わせたくないみたいにさらに畳み掛けるのだ。 「俺の認めた女性が、あんなクソ野郎と釣り合いが取れないのなんて必然だと思わないか?」  ――だから天莉が横野(よこの)博視(ひろし)と別れたのは当然の成り行きで、あれは天莉が次のステップへ進むために必要な通過儀礼に他ならなかったのだ。  そう思ってもらわないと困る。 「――そうだろう?」  尽は天莉の頬にそっと触れると、あえて彼女の瞳を真正面から見据えた。 「いつまでもキミがクソみたいな連中のために思い悩んでいる姿を見せられるのは正直気分が悪い。――なぁ、天莉。どうせ頭を悩ませるなら俺の申し出をどうかに全振りしてはどうかね? その方が余程建設的だし、正直な話、俺は天莉が俺以外の男のことを考えてると思うだけで死ぬほど胸くそが悪いんだけど」  さらりと結婚をOKする選択肢しかないのだと言い切った尽に、天莉がどうしたらいいか分からないみたいに瞳を揺らせるから。  尽は天莉との距離をグッと削って――。 「んんっ……!」  戸惑いを口にしようと開いた天莉の唇を、吐息ごと塞いだ。
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