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「先輩、三日もお休みしちゃうとかびっくりしましたよぅ? 課長から先輩がお熱出したってお聞きしてぇー、紗英、先輩のことが心配で心配で……お仕事とか何にも手に付かなかったんですぅ~」
出社するなりゆるふわウェーブの髪の毛を、ラインストーンが散りばめられたネイルの目立つ指にクルクルと巻き付けながら、江根見紗英がクネクネと身体をよじらせた。
今、目の前で紗英が宣言したように、何故か天莉の机に積まれた未処理であろう書類の山を見て、天莉は我知らず溜め息を落とす。
「玉木くーん。病み上がりのところ悪いんだけど……」
総務課長が片手を振って手招きするのを見て、天莉は『今日も残業コースかな』と思った。
これと言うのも、結局のところ自分が体調を崩してしまったのがいけないんだろう――。
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