太陽の笑顔

1/1
前へ
/3ページ
次へ

太陽の笑顔

ー次の日ー 君がいない。 どこにもいない。いつもいるところにもいなかった。 チャイムがなったが、校舎に入る気はしなかった。 僕は、外を駆け回る。 珍しいことに人は誰もいなかった。 先生ですらいないのだ。 と、体育館から光がかすかに漏れている。 僕はゆっくり近づくと耳を立てた。 先生や名前もわからない生徒たちのすすり泣く声が聞こえる。 中には癇癪を起こしたくらいに叫んだ人もいた。 隙間から除いていると先生と目があった。 先生は僕に口パクで「早く入りなさい」と告げるとそのまま前を向いた。 先生も泣いている。 僕が体育館のドアを開けたが、誰も後ろを見ようなんてしない。 ツン、とお香の香りがした。 みんなが一つの棺に列をなして、花を添えていた。 僕は、並んだ人たちの中から彼女を探す。 いない。やっぱりいない。 みんな泣きながら、諦めたような顔をしていた。 まるで、お葬式のような……。 お葬式? まさか、と嫌な予感が体中を駆け巡った。 僕は涙の味を味わうと、弾かれるように棺から離れる。 中の人が誰かなんて見たくなかった。 僕が開けたドアから、自然と太陽の温かみが感じられた。 彼女の笑顔と同じ温かさだ。 「あぁ、彼女は太陽になったんだ」 僕はその時初めて太陽の意味を知った。 完
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加