凍った太陽

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凍った太陽

今日は温かい。もうそろそろで冬も終わりだな。 さて彼女はどこだろう。 彼女の笑顔を見たらきっともっと暖かくなるはずだ。 っ! 体が凍ったかと思った。 彼女は泣いていた。 僕の心に大雪が積もり始めた。 どうして泣いてるの?そう聞ける立場じゃないことぐらいわかっている。 だれか、涙を拭うよね。 早く拭って。 だけど誰も拭ってくれなかったら? 彼女は一人ぼっちだ。 僕の足は吹雪に押されるかのようにまっすぐ彼女の方へと向かっていった。 「大丈夫?泣かないで」 彼女は驚いたように僕の方を見ると、笑った。 「大丈夫。心配してくれてありがとう」 いつもの笑顔じゃない。 だけど、笑っててだなんて口に出せなかった。 彼女は涙を拭うとそのまま僕とは反対方向にかけていく。 チャイムがなっても僕はずっと立っていた。 この恋はもう叶わないことを察して。
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