1人が本棚に入れています
本棚に追加
Good bye, your life.
きみは、きみの世界に別れを告げてほしい。
世界の終わりを夢想するとき、どうして最後まで見届けられるような気になっているんだろう。
終わった後の荒廃を、あるいは虚無を、いつだってきみは見ている。終わりは平等だなんて言いながら、夢が目覚めていくようにはたから地球が消滅しても、ある種の細胞が進化の先に限りをみても、神様の命題に答えが付されて全部がゼロに戻ってしまったときでさえ、きっと最後の最後の、なんならその先まで知っているんだろう。
もし終わりが平等なら、きみなんて、さあ、ちょっと気になり始めたひとの呟いた言葉をうまく聞き取れないまま唐突にページが切れた本みたくあっけなく終わっちゃったりするはずなんだよ。それは僕もおんなじだけど。
なにが言いたいのかって、そう、きみは世界が終わるとき、肉体は滅んでも精神だか魂だか心だか、そういうものは残っていられると密かに信じているタイプでしょう。自分が信じた、あるいは育ててきた価値観は未来永劫「せかい」に存在を許されていると、そう思っているんでしょう?
僕はそうは思わないな。肉体が滅べば、いや脳が死んでしまえばその時点で、個人の世界なんて霧散してどこにも残らないんだよ。そうでなくては困るというだけなんだけれどね。
でも、証明してみるのも悪くないでしょう?
だからちょっと手始めに、きみにはきみの世界に別れを告げてもらおうか。
もしきみの世界がなんらかの形で遺るというなら、今その口が発したように、僕はいずれ罰を受けるだろう。
それじゃあ、
最初のコメントを投稿しよう!