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私はしばらく佐倉から目を反らしいたが、やっと佐倉の方を見ると佐倉の凛々しい表情が顔を赤くさせた。今まで蓋をしていた感情が一気に外に出たみたいに、佐倉のことを直視すると恥ずかしさを感じてしまう。
「意識、してんじゃん」
佐倉はまた私に近づくと、そっと腰を曲げて、顔を近づけた。私はそれを拒むことができず、目を瞑る。唇に柔らかい感触が触れた。
数秒してから、お互いの顔が離れた。
「それって、俺の都合の良い解釈していいの?」
佐倉はまじまじと私を見ながら、答えを待つ。私は何にも言わず、ただちょっと間を置いてからこくりと首を縦に振った。それを見て佐倉がまた私をハグする。今度は抵抗もせずに、ただされるがままになっていた。
「なぁ、一つ質問していい?」
「何?」
「白川って実は前から俺のこと好きだったでしょ?」
私は図星のことを言われ、何とも言えずただ口を噤んでしまう。
「図星だ」
「うるさい」
「あれでしょ。俺に彼女がいるって噂聞いて、諦めた系」
また図星を突かれ、私は何も言えない。その反応に佐倉はふふっと笑うと「また図星だ」と嬉しそうに言った。
「クリスマスにさ、俺は白川が何あったか知らないよ? でもさ、そんな記憶忘れるぐらい俺が最高のクリスマスにしてあげる」
「……恥ずかしいこと言うね」
「うん、俺も今自分で言ってて超恥ずかしかった」
私を抱きしめる力が強まると、私は思わずふふっと笑い声を漏らしてしまう。
「やれるもんならやってみろ」
そう言うと、佐倉が「当たり前」と言う。私たちは体を離すと、荷物を持って歩きだす。
「俺さ、好きな子にはデレデレなんですよ」
「そうなんだ」
「後、下の名前でも呼びたい派なんですよ」
「ああ、だろうね」
「有香」
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