第一章 回転ベゼル

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「もしよければ名前を教えていただけますか?」 少女はくるくるとした瞳で聞いてきた。 名前…あぁ名前か。 「斎藤」 「斎藤さん、これはとても良い時計ですよ。 見てください。中の機械がとても綺麗です。 大切に使われてたんですね。」 見ると機械はキラキラと輝いていた。 時計なんて興味がなかったから仕事上、動いてれば何でもよかった。 「50、60年くらい前の時計ですよね? とても大事にされてたんですね。 この時計はオーバーホールすれば100年でも200年でも使い続けることができます」 「200年… そこまで生きてられないけどね」 俺は笑いがら言った。 強張っていた心が少し緩んできていた。 「こちらに座ってお茶でも如何ですか?」 そういえば昼食べたきり何も口に入れていなかった。勧められるまま椅子に座った。 「すぐお茶淹れますね」 少女はそう言いながら店の奥に消えた。
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