第一章 回転ベゼル

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律子にもらった時計 習慣で着けてたが、気にも止めなくなっていた。時計だけじゃなく律子自体にも。 仕事が忙しく朝早く出て夜遅く帰って寝る。 それだけの生活。 子供もいないから独身の時と何も変わらない。 結婚2年ぐらい過ぎたころから会話も殆どしなくなった。 俺は営業職で土日休み、律子はデパートに入ってる化粧品メーカーの美容員で火水曜日が休み。合コンで知り合い、1年ほどで結婚した。 休みも合わないから顔を合わせるのは忙しい朝ぐらい。 何となくすれ違いが続いて、最近は顔を見ると些細なことで口論になった。 今日は珍しく仕事が早く終わって、時間も潰さず帰ってた。 このままでは駄目なことも気づいていた。 ゆっくり話し合う時間が必要だと思った。 律子は休みのはずだが、玄関を開けると真っ暗だった。
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