第一章 回転ベゼル

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「お茶どうぞ」 そう言いながらオレンジの香りのティーとカステラをテーブルに置いた。 一口飲むと少し落ち着いてきた。 「今から修理始めちゃいます」 と言いながらフフフと笑った。 「もし時間が戻せるとしたらどこまで戻りたいですか? 私はおじいちゃんと一緒に暮らしてた時に戻りたいです」 そう言った少女の顔は少し寂しげに見えた。 「時間が戻せるとしたら…幸せだったこの時の…」 そう言いながら時計に目をやった。 そこまで言いかけてやめてしまった。 今更どうしようもない、そう思った。 空腹だったせいかカステラを食べてお茶を一気に飲み干した。 体が温まってきて疲れがどっと出たせいか、眠けが襲ってきた。 作業しながら少女が話しかけてきたが、意識が薄れて眠ってしまった。
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