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「これからね。千冬先生にお茶でもご馳走しようかなと……」
「あぁ!?」
おもいっきり不機嫌な声を出しながら、佐多が千冬の方を向いた。
「いやいやいやいや!! 約束とかはしてないから!! 今、誘われて……」
慌てて、千冬が否定するのをフォローするように、月村が間に入った。
「そう。サイン会の後に、お茶でもどうですかってね。ちょうどこのデパートで、九州物産展がやってて……梅ヶ枝餅を焼いてる茶店があったもんですから」
「梅ヶ枝餅!! 梅ヶ枝餅って言った!? 今、梅ヶ枝餅って!!」
怒涛の勢いで食いつく千冬に、月村がにこやかに頷く。
「おや? 梅ヶ枝餅、ご存知でしたか」
「ご存知も何も、大好物っすわ!!」
「あはは。美味しいですよね、梅ヶ枝餅。良ければ奢りますよ?」
千冬が佐多の方を向き、肩をポンッと叩いて。
「とっつぁんよ……」
「とっつぁん言うな。なんだよ?」
「この人、多分、良い人だよ」
「どこの何を根拠にして、そう判断してるんだ!! お前さんは!!」
「梅ヶ枝餅」
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