その男、偽造文書の天才につき

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「あ、ちょ、ちょっと!! いいんですか!? 勝手に戸を開けたりして!!」 あわてて、遼が寺鷹を止めるが、寺鷹の方は意に介せずといった風で。 「いいんですよ。何時ものことですから。て言うか……田舎とは言え相変わらず無用心な……」 ぶつぶつと文句を言いながら、寺鷹は靴を脱ぎ始める。 (い、いや……そっちは何時ものことなんだろうけど、俺は馴れてないし、だいたい居留守を使いたいぐらいに、会いたくないっていう意思表示かもしれないだろ、これ) 「はぁ……」──と深いため息を吐きつつ。 (俺は勘弁だぜ。偏屈ものがヘソを曲げると、本当にめんどくさいことになるんだからな……) 職業柄、それは痛い程にわかってるがゆえに、憂鬱になる。 「ほら、どうしたんですか? あなたも上がってください。そもそもあなたの依頼なんですから」 屈託なく。玄関に上がってニコニコと手招きする寺鷹を見ながら、半ばやけくそ気味に靴を脱ぎ、家に上がった。
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