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月村の挑発を黙って聞いていた佐多が、千冬の方をチラッと見る。そうして──
「そうだ」
真っ直ぐに、月村に向かって言い放つ。
「こいつは、俺の女だ。だから手を出すな」
はっきりと聞こえる声と、真っ直ぐな視線──。それはまさに、溺愛小説のヒーローのようで、その場に居た女性陣の目がハート状態になる。
「ちょ……あの、千冬先生……。あの……マジなんですか?」
なぜか、男性である遼まで照れながら、千冬に聞く。黙ったまま、遼に背を向けている千冬を見ながら、無理もないと遼は思う。
(男の俺でも、あのフェロモンはヤバいっつうか……。ましてや、あのフェロモンで俺の女宣言……。そりゃ、チャーム状態で固まっても無理はない……)
千冬をチャームから正気に戻そうと、千冬の肩を叩こうとした時、千冬の首がギギギギと軋んだ音をたてるかのごとく、ぐるっと回った。
「リョウチャン……ワタシ、タエラレナイ」
「ちょー!! 千冬先生、どうしたんですか!? なんで、そんなリンダ・ブレアみたいな首の回しかたしてるんですか!! あと、その奇怪な声はどこから!!」
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