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「遼ちゃん、わたし、この男、なんとかしたい。とっつぁんを刈りたい」
「何を刈るつもりなんですか!!」
「それが無理なら、アガサクリスティの『ミス・マーブル』を持ってきて。殴るから」
「ああ、ギネス記録に載った世界一分厚い小説って言われてるやつですね!!(公式で322㎜と言われてる) ダメですよ!! 編集として、本を粗末に扱うことには承服できかねます!! 千冬先生も作家ならわかるでしょう!! どうしても殴りたいのであれば、そこのパイプ椅子で!!」
「俺は粗末に扱ってもいいのかよ!!」
千冬と遼のやり取りを聞いていた佐多が、突っ込む。
「扱ってもいいだろう。いや、むしろ扱え。マジで、誰が誰の女って? 世の中の女全てがとっつぁんのフェロモンにやられると思ったら大間違いだぞ、この野郎!!」
「とっつぁん言うな!!」
今度は、怒涛の勢いで口喧嘩バトルを始める佐多と千冬を見ていた月村が、ふんっと鼻で笑った。
「お二人、仲がよろしいんですね……。自分が入り込む隙なんてないじゃないですか……」
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