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「ああ!? 誰と誰が仲良しだって!?」
二人が同時に月村の方を見て、怒鳴るのを見ていた遼がボソッと呟いた。
「……そういうところがです」
月村が再度、鼻で笑いながら、二人を交互に見る。
「それにしても……これは、先生が靡かないはずだ……」
先生という言葉に、佐多がピクッと反応した。
「代筆屋でなくても、お前さんに靡くやつは居ないんじゃねぇのか?」
「え? 弟のこと? 靡くってなに?」
佐多の皮肉に、千冬が怪訝な顔をし、月村はそれを無視して続ける。
「あなた方みたいなのがね、私は心底嫌いなんですよ。あなた方みたいなのはね、どんな異端者であろうと、一度自分の懐に入れた者は、全力を尽くして守ろうとする。最大の理解者になる。だから、先生は私に靡かない。ぶっちゃけ邪魔で仕方ない」
「……褒め言葉として受け取っておくぜ」
佐多が月村に対して睨みをきかせ、月村が肩をすくめた。
「出直してくるか……」
「あ?」
唐突に月村はそう呟き、二人に背を向けた。
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