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園子さんが名前を呼んでくれた。俺はそれだけでガッツポーズしそうなくらい嬉しかった。大輔って名前でよかった。こんなに自分の名前を愛おしく思ったのは初めてだ。熱々のミートソースドリアを一口食べてから、半熟卵を崩す。とろりとした黄身が流れだす。ミートソースの赤色とのコントラストが美しい。
隣の園子さんを盗み見ると、綺麗にパスタをフォークに巻き付けて、小さな口に運び入れている。食べているだけなのに、可愛い。けど、園子さんってもっと豪快に食べる人じゃなかったっけ? 俺のオムライスを食べるときは、大きく口を開けて、幸せそうに食べてくれるんだ。
「園子さん、猫舌でしたっけ?」
話しかけてみると、園子さんは目をぱちぱちとさせて、小さく首を傾げる。
「……あ、トマトソースがはねちゃうと思って、ちょっとずつ食べてたんです」
「なるほど、そういうこと」
鞄の中からフェイスタオルを引っ張り出して、園子さんの両肩にかける。手の甲をさらさらとした髪がくすぐった。
「これでどうですか? あ、まだ使ってないタオルですから」
「ありがとうございます。すみません」
園子さんが髪を耳にかけると、トマトみたいに真っ赤になった耳が姿を現した。
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